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奥羽越列藩同盟の基礎的研究

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トップカスタマーレビュー

形式: 単行本
奥羽列藩同盟の結成から解体までを学術的に解明した唯一の本。過去には佐々木克の戊辰戦争―敗者の明治維新 (中公新書 (455))や、石井孝の維新の内乱 (1968年)明治維新の国際的環境 増訂がある。だが概説書は客観性に欠けているか、イデオロギーに先鋭化されすぎており、問題がないわけではない。
本書は、復古記 第1冊 覆刻 自慶應3年10月至明治元年2月仙台戊辰史 1 (日本史籍協会叢書 続)などの基礎文献を元にして、奥羽列藩同盟がどのように結成されていったのかを学術的に解明する。
作者は列藩同盟の問題点として、「政権」とは言い難く、強いて定義づけるとすれば、「圧力団体」とでも呼ぶしかないものである。反薩長軍的な軍事同盟となったが、仙台藩など一部の藩を除けば、防衛的な意味合いでのものでしかなかった。そして、同盟には「政権」の核となる政治機関も綱領もないとリアリズムに断罪している。

従来の列藩同盟関連書籍が、『正義』などの観念論が中心でとてもではないが歴史を歪曲しすぎているきらいがあったのに対し、本書はあくまでもリアリズムに徹し、列藩同盟の問題点を学術的に論じている。小説ではないために、歴史小説ファンには読みずらい本ではある。しかし、列藩同盟について学問として考究したい意思があれば、是非にでも読む事をお勧めしたい本である。

なお、本書の参考文献には東北戊辰戦争に詳しいと言われる星亮一氏の本は、なぜか一冊も含まれていない事をここで表記しておく。
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