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【甲信越ある記!】長岡・河井継之助記念館 「最後の武士」の生き方に学ぶ

10/1(日) 7:55配信
産経新聞
 中学生の頃に見たNHKの大河ドラマ「花神」で、俳優の高橋英樹さんがハンドル式の機関銃を撃ちまくる姿を鮮明に覚えている。「ガハハッ」と口を開けて笑いながら、新政府軍の兵隊をなぎ倒していく演出だったと記憶している。

 高橋さんが演じたのは、幕末に越後長岡藩の藩政を家老として担い、戊辰戦争の際に軍事総督を務めた河井継之助(1827~68年)。記念館の1階に入ると、回転式多銃身機関銃「ガトリング砲」が出迎えてくれる。

 「残念ながら、長岡藩が購入した2門は、いずれも行方知れず。長岡城が落城した際、新政府軍の手に渡らないように破壊したのではないでしょうか」。記念館の稲川明雄館長(73)が、こう教えてくれた。展示品は、海外の設計図を基に地元の部品メーカーが精巧に復元したもの。ハンドルも実際に回せる。

 現存する継之助の遺品も多くはない。ゆかりの品として展示されているのは、西国遊歴の際の旅日記「塵壺(ちりつぼ)」や、旅先で買った蓑(みの)、思想家の人生訓を筆で手書きした写本、「常在戦場」としたためた書など約30点。館内は解説文や地図、写真などを盛り込んだパネルを中心に、子供にも理解しやすい展示構成になっている。「継之助という人の中身、人間性を紹介するのが狙いです」と稲川館長。

 2階建ての館内はコンパクトで、じっくり見ても30分ほどあれば一回りできる。「蒼龍窟(そうりゅうくつ)」と号した継之助にちなみ、カーペットやパネルに青色を多用したのは稲川館長のこだわりだ。

 継之助を知らしめた司馬遼太郎氏の小説「峠」の自筆原稿も展示されている。司馬氏は、あとがきでこう記した。「幕末期に完成した武士という人間像は、日本人がうみだした、多少奇形であるにしてもその結晶のみごとさにおいて人間の芸術品とまでいえるように思える」

 開館から11年目に入り、有料の入館者は9月初めに11万9000人を超えた。足を運ぶ人は少しずつ増え、多くは県外からのリピーターが占める。「日本人と何か」。終生問い続けた司馬氏の思いに「最後の武士」とも呼ばれる継之助の生き方を重ね、思索する場として、記念館はふさわしい。(村山雅弥)




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