司馬遼太郎さん「峠」直筆公開 文学碑原稿 小千谷
「戊辰150年記念」として、小千谷市立図書館は、小千谷市内に立つ司馬遼太郎さん著「峠」の文学碑のため、司馬さんが書き下ろした直筆原稿を展示している。「峠」は戊辰戦争で長岡藩総督として戦った河井継之助を描いた。展示された原稿には何度も手直した様子が残り、司馬さんが自身の文章に対し、細心の思いを込めていたことがうかがえる。
文学碑は、信濃川に架かる「越の大橋」の開通に合わせ、1993年に橋の西詰め(同市高梨町)に設置された。「峠」の舞台となった榎峠を対岸から臨む場所に位置し、正面には「峠」の一文を司馬さんがさらに推敲(すいこう)して書いたもの、背面には文学碑への思いを書き下ろした文が、それぞれ刻まれている。
同館では、個人が所有するこの直筆の原稿用紙3枚の実物を初めて公開。「『峠』のこと」と題した背面の文は、最初の執筆後も赤や緑、青などの色鉛筆で何回も修正が加えられたことが分かる。山本肇館長(62)は「文章への並々ならぬこだわりと小千谷への思いを、原稿を見る人に感じてほしい」と話している。
司馬さんが取材のため、同市の慈眼寺を65年8月に訪れた際に、記帳した芳名録も今回初めて公開している。
5月9日まで展示し、4月30日と5月7日は休館。入場無料。問い合わせは同館、0258(82)2724。